マンガ

「海街diary」吉田秋生の感想。”行ってくる”に込められた理由

吉田秋生は天才だ。

その衝撃は「吉祥天女」(1983)を読んだあの日から変わらない。

第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ大賞2013、第61回小学館漫画賞一般向け部門受賞。

2015年に実写映画が公開。2017年に舞台化作品が上演。

「海街diary」あらすじ

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。

母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。

鎌倉(かまくら)を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!

Amazonより引用

ヨンダリ
ヨンダリ
どこにでもある家族のどこにでもある不幸なきっかけからはじまるお話

「海街diary」を読んで

義理の妹を育てるということ

父と母に捨てられた3姉妹が、義理の妹・すずと生活することで新しい家族を形成する物語です。

あっさりとした絵柄で「日記」のように淡々と話が進んでいくのですが、なかなかエグイ設定ですね。

1話の中で喩え話しとして出てくる言葉「子供でいることを許されない子供」が、この物語の軸になっています。

3姉妹たちは幼くして親の事情で自立しなければなく、すずもまた実母の死から子供でいることを許されなくなっています。

周囲からは理解できないような「家族」ですが、3姉妹にはすずが自分たちのように映り、一人にしておけなかったんですね。

しておけなかったというよりは、してはいけない!と思ったのでしょう。

すずもその気持ちを感じられたから、鎌倉に来てよかったと何度となく繰り返します。

絆の物語

 

長女の幸が看護師ということもあり、病気の人に寄り添うシーンがたくさんあります。

そして、いろいろなキャラクターが言葉を変えながら繰り返すのです。「本人にしかわからない」と。

でもそれは、突き放す言葉ではなく相手のことを本当に想ってあげたくて、たどり着いた言葉です。

すずは会ったことのない母方の家に嫌われていると思っていました。

しかしそれは母の決意を母方が汲み取ったことで、すずは嫌われてはいなかったのです。

ちゃんと話をすると相手のことがわかる、でも本当のことは本人にしかわからない。

足を切断することになったチームメイトの多田くんも、本心はかくしたままでした。

それでもお互いを気遣うことでつくりあげる日常は、絆があったからこそなのです。

別々に出会った人たちにだんだんと絆が生まれていく描写が、なにより美しいです。

結局父親が悪い

 

そもそも、父親が不倫して家を出ていかなければすべて丸く収まったはずなのです。

やたらと「やさしいお父さんだった」と言われ続けているのですが、恋しても家を出ちゃダメ。

いや、そうするとすずは生まれてこない…?

でもすずに

「…奥さんのいる人 好きになるなんて…お母さんやっぱりよくない…」

って言わせるのはやっぱりかわいそうです。

すずのお母さんも不幸になってるし、3姉妹も、その母も、すずの母方の家もみんな不幸にしています。

すずの「お母さんよくない」発言に幸はハッとして不倫をやめる決意ができるのですが、幸が不倫したのも父親の影響なんじゃないかと思います。

「やさしさ」ってなんでしょうね。

新しい形の家族の絆は、今の社会ではたくさんの人が必要としているのでそのヒントになると思うのですが、やっぱり無責任なことはしちゃいけないですよ。

漫画を読んだときは登場人物の相手を気遣うやさしい描写に引き込まれたのですが、レビューを書いていて、結局不倫よくないなって結論になってしまいました。

あ、かわいそうってあんまり言うとすずに怒られちゃいますね。

完結

2006年から不定期連載されていた海街diaryも完結しました。

最終巻には番外編として10年後のすずが描かれています。

出典:海街diary

第1巻第一話で

「すずちゃん、大変だったでしょうありがとうね。あなたがお父さんのお世話をしてくれてたんでしょう?お父さんきっと喜んでると思うわ。本当にありがとう。」

と幸に言われ”降るような蝉の声もかき消すことが出来ないほど” に大号泣したすずの10年後が幸せそうで本当に良かった。

帰ってくる場所が出来て、手放しで「行ってくる」と言えて本当に良かった。

そして海街diaryにはサブタイトルがついているのですが、そのサブタイトルが秀逸!

  1. 『蝉時雨のやむ頃』
  2. 『真昼の月』
  3. 『陽のあたる坂道』
  4. 『帰れないふたり』
  5. 『群青』
  6. 『四月になれば彼女は』
  7. 『あの日の青空』
  8. 『恋と巡礼』
  9. 『行ってくる』

思わず情景が浮かんでくるサブタイトルです。

ヨンダリ
ヨンダリ
これがエモいってこと!?

出典:海街diary

10年以上に亘る名作が終わってしまったので、次回作に期待です。

ストーリー

画力   

魅力   

笑い   

シリアス 

ヨンダリ
ヨンダリ
登場人物がみんな本当に鎌倉にいそう!

ちなみに豪華女優陣を揃えた映画ですが・・・

映画史に残るほどの〇〇映画、とだけは伝えておきます。

「海街diary」を読んだ人におススメ

ヨンダリ
ヨンダリ
当時の「少女漫画」の概念を吹き飛ばして跡形もなくしたほどの衝撃作!

 

 

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