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「ミステリと言う勿れ」田村由美の感想!常識や権威には常に懐疑的であれ

「ミステリと言う勿れ Do not say mystery」

簡単にカテゴライズして欲しくない、という意味でしょうか。

それとも!?

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謎はまだまだ進行中!

「ミステリと言う勿れ」あらすじ

『BASARA』『7SEEDS』の田村由美、超ひさびさの新シリーズがついに始動!! その主人公は、たった一人の青年!
しかも謎めいた、天然パーマの久能 整(くのう ととのう)なのです!!

解決解読青年・久能 整、颯爽登場の第一巻!!

冬のある、カレー日和。アパートの部屋で大学生・整がタマネギをザク切りしていると・・・警察官がやってきて・・・!?

突然任意同行された整に、近隣で起こった殺人事件の容疑がかけられる。
しかもその被害者は、整の同級生で・・・。
次々に容疑を裏付ける証拠を突きつけられた整はいったいどうなる・・・???

Amazonより引用

ヨンダリ
ヨンダリ
日常の視点が少し変わるかもしれない漫画だよ!

出典:ミステリと言う勿れ

「ミステリと言う勿れ」を読んで

作者田村由美の絵はかなりクセがあるので苦手な人も多いかもしれません。

デビューしたころは、目がきらきらのいかにも少女漫画らしい絵柄と、不思議少女が出てくる作品が印象的な作家さんでした。
そして華があるきらびやかな絵柄はそのままに、彼女は、短編を合間に挟みながら、『巴がゆく!』、『BASARA』、『7SEEDS』と、ひとつずつ、着実に、物語の骨格が骨太になっていくのです。
『BASARA』、『7SEEDS』で大きな世界観を描いたのちに、ふと足元を見つめ直すかのように始まったのが、この『ミステリと言う勿れ』です。

久能整(くのう・ととのう)という韻を踏んだかのようなちょっと不思議な名前を持つ大学生が主人公で、この整が最初のアクシデントをきっかけに、謎めいた他人のトラブルに巻き込まれていく様を描いています。

一番最初のエピソードこそ、自分自身が殺人犯の嫌疑をかけられた展開ですが、2つ目以降のエピソードでは、全く関係のない、道ですれ違っただけの他人の抱えるトラブルに巻き込まれていく形で話が進んでいきます。

そしてそれは、まるで蜘蛛の巣が、放射状に貼られたタテの糸を辿りながら、各々の経糸の間に緯糸が渡されていくかのような構成でストーリーが継いであるのです。

恐らく、中心は整の存在。

一大学生に過ぎない整の、何かの間違いで巻き込まれたトラブルから、全く関わりのない別の物語を整が通り過ぎていく形を取りながら、各々の物語が何かで繋がっていることを予感させる描き方になっています。

恐らく、物語が完結するときには、大きなきれいなクモの巣が描かれるのではないかと期待させてくれる作品です。

『ミステリと言う勿れ』=「ミステリと言ってはいけない」というのがタイトルの直訳です。
主人公の整は、現実に起きたことの中に隠れている事実をひとつずつ引き出していきます。

第1のエピソードでは、整は、同じ大学の学生を殺した容疑をかけられ取り調べを受けます。
しかし整はちらりと耳にした捜査員の刑事各々の情報を糸口にして、逆に刑事たちの身の上を聞き取り始め、ひとり、またひとりと、整相手につい話をし始めてしまうのです。

それは心を開く、というよりは、自然と撚り糸の端がほどけてくるように、思っていることがほろりと言葉として出てくるような会話です。

その多くは、事実ではなく、「真実」です。

心で思っていること、すなわち、その人にとっての真実を訊き出すことに整は長けている、とでもいえば良いでしょうか。

そんな場面での整のセリフのひとつが「真実ってなんですか?」という言葉でした。

真実は光を当てる場所によって、見える形が異なる。

リンゴのある面を見ているAは「とてもきれいな赤いリンゴ」と言い、同じリンゴをAとは全く逆の方向から見ているBは「虫食いのあるリンゴ」と言うことがあり得るのが「真実」なのです。

そうやって、各々がさらけ出した真実の中から、整は「事実」を巧みにより分けて自分への嫌疑を晴らすことに成功します。

元来の「ミステリー」という単語は「神秘」とか「不思議」を意味します。

そこから派生して、聖書などの神秘をテーマにした劇を言うようになり、近代になっては、「不思議→謎」を明かす、ということから推理小説をミステリーと呼ぶようになりました。

しかし多くの推理小説ファンならば、夢オチや幽霊オチは許すまじ、でしょう。

そして推理小説作品のほとんどは、事実を暴き出すことによって謎や問題を解決するものです。

つまり、面白いことに、ミステリーという言葉を推理小説というジャンルに中てたというのは、全く反対の意義をあてこんだ皮肉とさえ言える現象なのです。

最初は、「ミステリーとは簡単に言ってほしくないな」くらいの意味のタイトルかと思ったのですが、主人公の整によって事実が引き出されることで、不思議が不思議でなくなることを言いたいタイトルなのかもしれません。

ちょっと、京極夏彦の京極堂シリーズの名セリフを思い出しますね。
『この世に不思議なことなどなにもないのだよ、関口くん』――こんなカッコイイ決め台詞は何も言いませんが、整は静かに拾い集めた真実を、掌を広げて見せるようにそっと「ほら、これが事実なんですよ」と見せるのです。

それは推理と言うよりも、まるで研究発表のような、いや、研究発表は新しいことを証明するものなので、症例検討とでも言いましょうか。

事実だけを事実として、お披露目するのです。

出典:ミステリと言う勿れ

とにもかくにも、整はおおよそはその巧みな話術で殺人容疑を晴らすことができました。

しかし、見た目こそふわふわ綿菓子のようなヘアスタイルが独特な個性を醸し出している整ですが、実は読者は整という人物についての情報をほとんど知ることなく、一つ目のエピソードが終わります。

取り調べを受けているのに、整の身の上については、
・独り住まいであること
・現役の大学生であること(自分で言っている)
・祖母がいた(祖母が亡くなったときの話をした)
・父がいる(昨年末の帰省で父と話した内容を語る)
こんなものです。

付け加えるならば、どうやら自炊をするようだということと、カレーを作ることには熱意があること、くらいです。

通常、少女漫画にしろ、少年漫画にしろ、登場人物の、とりわけ主人公については読者に気持ちを入れこんでもらうために、身の上、性格、特徴、などなど、しっかり読者にアピールするよう描かれますが、整は、自分と袖すりあった人たちと物事を、淡々と観察して読み解いて(読者に)見せますが、面白いかな、我々読者は整のことを多く知ることはないまま物語は進んでいきます。

この記事を書いている現在で5巻/8エピソードが既刊ですが、その中で整の身の上で明らかにされたのは、冒頭にあげたこと以外だと、
・どうやら広島に住んでいたことがあるらしい
・育ての親がいる
ということくらいです。

自分のことを話したくない素振りは見えませんが、見えないだけで話したくないのかもしれません。

そのあたりは、あるエピソードの中で、ほかの登場人物から
「あいつ、ずっと自分の父親への恨みを話してるようだったな」
と言われたり、
「オレには君が家族を轢き殺す側へ入れたように思った」
(※註:トロッコの切り替えをして、一人を死なせるのを選ぶか、5人を死なせるのを選ぶか、というトロッコ問題が話題になったとき)
と言われるシーンから伺えます。

また、広島の地で、整の幼いころのあだ名を呼び、整に声をかけてきた人から逃げるように去る場面もありました。

もしかすると、この物語は、整が人間模様のモザイクを整理していく先に、整という人物像が浮かび上がるようにできているのかもしれません。

思えば、人間ひとりひとり、そのバックグラウンドなんて、常に自分の履歴書をみせびらかして歩いているわけでもなし、喧伝しているわけでもなし、しんみり語る機会などがあればこそ、他人の背景を垣間見ることくらいはできるものの、結局のところ、その人が口に出した言葉すら、本心かどうかもわからないものです。

「僕は常々思うのですが」というのがどうやら、主人公の整の口癖のようですが、たとえ整が常々思っていようが、よほどの局面に至って初めて整も他人に言うことになるような内容なので、事件に巻き込まれ、大事な局面で整が他人の真実を暴くために言う言葉で、ひとつずつ謎の主人公・整の内面が暴かれていくという二重の謎解きのようになっています。

それは、この作品全体が、ただ、整が次から次へと巻き込まれる非日常的な事件が連なって描かれているだけでないところにも、作品のうまい「仕組み」があるからです。

この作品は、エピソードからエピソードへとバトンリレーのように話が繋がっています。

オムニバスというよりはもっと密接に関連した、まるで糸に通したビーズのネックレスのように、個々の話の中を1本のストーリーが細々とした「何か」で繋がれているようです。

それは、殺人の容疑で取り調べを受けたことで警察内に知り合いができた整(ep.1)が、バスジャック事件に巻き込まれてひとりの青年・ガロと知り合う(ep.2)、そのガロに示唆されて広島へ出かける気になった整が新幹線の中で隣に座った女性の持つ謎を解くのに力を貸し(ep.3)、広島へ着いたら新幹線の後ろの席にいた女の子の遺産相続問題に巻き込まれた(ep.4)。

ところがこの広島の少女は、ep.2に登場したガロの従妹で、ガロが少女の相続問題を助けてやるために広島へ行けないから、ガロが整を従妹に紹介したのだと言います。

相続問題に片が付いてようやく東京へ帰った整は、買い物に出た行きずりで爆弾犯と出逢うことになり(ep.5)、爆弾犯逮捕の時に土手から落ちて怪我をした整は、今度は入院先の病院で部下の犯罪を隠し続けてきた老齢の元・刑事の幽霊に出くわします(ep.6)。

その幽霊が整に譲った1冊の本の元の持ち主の少女が導くことによって連続放火を解決することになりますが(ep.7)、ep.5以降も物語にはずっとガロの影が見え隠れします。

少なくとも、整自身には、そう思えているようです。それが本当に「ガロ」という存在によって整の周りに連続した「何か」が起きているのかどうかは、きっと続きを読むことで明らかにされるでしょう。

具体的には、作品の中で、ガロと出会ったバスジャック事件のときに、ほんのちょっと話に出た【話題】と、なぜだかいつも巻き起こる事件の中で登場してくる【アイテム】、このふたつが【ガロ】というキーパーソンとともに、整の全貌を見せてくれるための道筋になっているようです。

「真実は 人の数だけあるんですよ」

整の一言一言で心理や真理に興味がある人なら絶対に楽しめる物語です。

整は人とは違う視点を持っています。

・疑問に思っていたけど、はっきり言えなかったこと

・「当たり前」だと思っていたけど、実は当たり前ではないこと

など実生活で言えずに溜めていた気持ちを代わりに言ってくれてすっきりする漫画です。

ミステリと言うよりはヒューマンのカテゴリーではないでしょうか。

出典:ミステリと言う勿れ

実際に主人公みたいな人がいたら100パーセント腹が立つと思います。

こんな人が傍にいるときっとめんどくさい・・・。

ヨンダリ
ヨンダリ
けれど、そのゴチャゴチャ言うところが楽しくなってくるよ!

ストーリー

画力   

魅力   

笑い   

シリアス 

ヨンダリ
ヨンダリ
ひねくれものホイホイな漫画w

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