「岸辺露伴は動かない」はマンガ家の岸辺露伴がネタ集めの際に遭遇した奇妙な出来事を、露伴自身が語り部となって描かれるオムニバス形式の漫画です。
なのでどこから読んでも楽しめる作品です。
掲載誌も様々で中には少女漫画雑誌の別冊マーガレットも。
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Contents
「岸辺露伴は動かない第2巻」あらすじ
杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。
作品づくりに一切の妥協を許さない彼が、様々な取材先で出会った尋常ならざる体験とは…!?
シリーズ第2弾は『望月家のお月見』『月曜日 天気-雨』『D・N・A』『ザ・ラン』の4編を収録。

「岸辺露伴は動かない第2巻」を読んで
ジョジョの奇妙な冒険の本編よりも「奇妙」だと感じる作品の第2巻。
今回も短編となっていて『望月家のお月見』『月曜日 天気―雨』『D・N・A』『ザ・ラン』の4作品が収録されている。
1巻よりも、日常に近いところで奇妙な事が起きるので、なおさら奇妙さが増している。
「望月家のお月見」望月家の名前に隠された秘密
望月家の面白いポイントは名前に隠された秘密です。
カンのいい読者ならすでに気づいたかもしれませんが「月に何かを望んだ者たち」が由来だと考えられます。その理由はうさぎ男のセリフからわかります。
「これは望月家に決められたことなのだ」
ということは過去に望月家とうさぎ男との間で何かの契約が結ばれたのでしょう。
その契約の内容もだいたい想像がつきます。
望月家は中秋の名月にお月見をしないと命を落としてしまいます。
命をかける代償に得られるものは当然大きなもの。
すなわちお金か命かどちらかということになります。
望月家が望んだものはおそらく後者の「命」。
- 昔、望月家の先祖に命を失うようなピンチが訪れた。(おそらく関ヶ原の戦いの時)
- たまたま現れたうさぎ男がご先祖様をの命を助けた。
- 助けた代償に中秋の名月の時にお月見をしないと家族全員の命を奪うという契約を結んだ
- 望月家では現在までお月見をする習慣が続けられている
という流れになります。
そしてこの契約には一つの条件があったと考えられます。
その条件とは「うさぎ男と交わした契約内容を他の人にしゃべってはならない」です。
もしこの条件が無いなら望月家の人たちは誰も命を落とさなかったでしょう。
当たり前ですよね。お月見をしないと自分が死んでしまうのですから何があってもその日は家に居続けるでしょう。
仕事や学校になんか行っている場合ではありません(笑)
望月家の今の当主である望月昇(もちづきのぼる)は少し気付いているみたいですが・・。
中秋の名月の日は何があっても外出禁止となっていない所を見るとうさぎ男と契約したときに「契約内容を誰にも喋ってはいけない」というルールがあったと考えられるのです。
うさぎ男も意地悪ですね。時間が経てば経つほどお月見をしないで命を落とす者が増えるのはわかっていたはずです。
つまりご先祖様の命を助けるかわりに子孫の命を奪うというとんでもない契約だったのです。
おそらくこのウサギ男は死神の化身でしょうね。
「常に時は流れる。時代も変わっていく。そのうち家族の中に・・」
うさぎ男のセリフの中に望月家の未来が予想できてとても怖い作品に仕上がっています。
「月曜日 天気―雨」歩きスマホが凶器
望月家の怖い話とは逆に身近で少し軽い話なので気楽に読んでください。
軽い話といっても岸辺露伴がいつものように大ピンチに陥ってしまいますが(笑)
駅で人にぶつかる。
1~2回なら誰もが体験している自然なことだろう。
だけど、何人もがぶつかってきたら?
誰がスタンド使いなのか?
どこから攻撃をされているのか?
原因が分からずハラハラしながら、先が気になってページをめくらずにはいられない作品
現代でありがちなシチュエーションだけに、かなり感情移入ができます。
あなたも人にぶつかるなと感じたら注意した方がいいのかもしれません。
この話の面白いポイントは歩きスマホが凶器になっている所です。
歩きスマホの人たちが画面を見ながらどんどん歩いているのを見るとよくぶつからないなぁ・・と感心してしまいますよね。
歩きスマホは普通、迷惑行為として描かれることが多いのですが
この話では迷惑行為ではなくもはや「凶器」として描かれているところが面白い!
一度読んでもらえればわかりますが歩きスマホの人たちの迫力がとにかくすごい!
ここまで迫力ある歩きスマホを描いたマンガは見たことがありません。
おそらく日本の漫画史上もっとも迫力のある歩きスマホの絵が描かれています(笑)
修羅場をくぐり抜けてきた百戦錬磨の岸辺露伴がうろたえているシーンも見どころです。
歩きスマホの集団攻撃を岸部露伴がどんな方法でかわすのかが面白いポイントです。
ピンチを切り抜ける露伴先生のカッコいいところもぜひ見てみてください。

「D・N・A」露伴先生のクールな一言にシビれるッ!
不気味でバッドエンドも多い岸辺露伴は動かないシリーズですがこの話はすごくあったかい気持ちになれます。
ハッピーエンドですので後読感もとてもいいです。
そしてこの話の最大の面白いポイントは岸辺露伴のめちゃくちゃカッコよくてクールな一言です。それは・・
「そうかもしれないな、現実はいじめられる・・だが断る」
「あなたが選択した道だ。僕はそれに立ち入らない」
という岸部露伴のセリフにシビれます。
親切とおせっかいは本当に紙一重です。
おせっかいをして痛い目にあった・・なんて経験がある方も多いでしょう。しかし岸辺露伴は「本当の親切」と「だだのおせっかい」の区別がちゃんとついています。
岸辺露伴の言葉は人によってはすごく冷たく感じたりするかもしれませんが物事の本質をよくついています。
人に嫌われても間違った親切はしないとの露伴の心が見れるすごく面白いポイントです。
「だが断る」と決め台詞を放ってひとり去っていく露伴がめちゃくちゃカッコよくてシビれます!
「ザ・ラン」橋本陽馬のわがまますぎる犯行動機
岸辺露伴とバトルすることになった橋本陽馬ですが実は彼は殺人鬼。
見た目はイケメンで優しそうですが超危険人物なんです。
その橋本陽馬の犯行理由がわがまますぎるのでご紹介します。
犯行理由その①
事あるごとに小言を言う。
食事のメニューを守らず筋肉のための生活を邪魔した被害者である恋人の早村ミカはボルタリングの壁のセメントの中に固められている。
犯行理由その②
インターホンを鳴らすなと警告したのに鳴らされて睡眠時間を奪われた被害者である配達人沢木は自宅マンションの地下駐車場のセメントの中に固められている。
犯行理由その③
(橋本陽馬の)担当のトレーナーを予約されて自分のトレーニングの邪魔をされた被害者であるジムの客は自宅のお風呂場の天井裏にセメントで固められている。
そんな理由で犯行に走ってしまうのか・・という感じですね。
しかも犯行後はいずれもセメントで固められているって本当に怖い!
橋本陽馬はセメントに固執しているところを見るとボルタリングに相当の思い入れがあるようです。
作者の荒木飛呂彦先生は「(橋本陽馬は)どこかにいる感じがします」とおしゃっていますが・・橋本陽馬のような人物が身近にいたら大変なことになりますのでいないことを祈りましょう。

最後までうまい。橋本陽馬という爽やかイケメンとの勝負。この人も現実にいそうだなと思えるところが奇妙で怖いところ。
ボルダリングを知らない人にとっては頭おかしい行為なんだけど、好きな人にとっては実は理想のマンションです。
荒木飛呂彦はボルダリング好きの人の気持ちをよく分かっているようです。
『望月家のお月見』のとばっちりをくらう人と、『月曜日 天気―雨』での電車の止め方が容赦なさすぎです。
荒木飛呂彦はいつも斜め上行くなーと笑えます。
決してギャグ漫画家ではないのにね。
ストーリー
画力
魅力
笑い
シリアス
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「岸辺露伴は動かない第2巻」を読んだ人におススメ
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