2004年から始まった「闇金ウシジマくん」が492話をもって最終回を迎えました。(2019年3月)
15年連載の続いたウシジマくんの中にはその時代の世相を反映した「お金の物語」が詰まっています。
実際の事件をモチーフにしたものもあります。
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この物語の主人公は丑嶋ではなくあなたなのかもしれません。
「闇金ウシジマくん」あらすじ
丑嶋のもとを毎朝9時に訪れる「奴隷くん」と呼ばれる人々。
それはパチンコ依存症の主婦たちのことで、丑嶋は彼女らに3万円の現金と引き換えに5万円の借用書にサインさせる。
あらかじめ金利・手数料2万円を引いた上、1日3割もの暴利を課しているにも拘わらず、今日も彼の会社には哀れな訪問者が引きも切らない。
「ヤミ金くん」抜粋
「ヤミ金くん」編あらすじ
地元では、絶対に逆らってはいけないといわれる鰐戸3兄弟が営む誠愛の家。
そこはホームレスを言葉巧みに騙し、高額な借金を背負わせ食い物にする悪魔の館だったのです。
その誠愛の家に入所してきたホームレスのひとりに、丑嶋の中学時代の親友・竹本優希がいました。
転校生の丑嶋をクラス全員でリンチにかける中、博愛主義者の竹本だけは参加しませんでした。
それどころか、逆に交流を深め親友になっていったのです。
誠愛の家に入所後も、竹本は大怪我をした同僚の医療費を捻出するために借金するなど、学生時代同様その聖人君子ぶりは全く変わりません。
そんな根っからの“善人”竹本が、丑嶋と再会を果たすのでした。
「ヤミ金くん」感想
あまりに酷い誠愛の家の劣悪な環境と、自らのゴミのような人生を愚痴るルームメイトにも、竹本は共感し愛情溢れる言葉を投げかけます。
「分かるよ。誰からも必要とされていないことが、この世で一番の苦しみだ」
そして、同僚が丑嶋から借金する際に保証人にまでなるのです。
見かねた丑嶋の忠告にも「人が人を見捨てたら心の貧しさはなくならない」と言い切ります。
この竹本の発言に私は思わずマザーテレサの言葉を思い出し、深い感銘を受けました。
この竹本こそ、欲望と暴力が渦巻く「闇金ウシジマくん」という救いのない物語において、唯一の良心にして希望の灯ともいえる登場人物なのです。
まあ、人によっては自己犠牲心が強すぎるあまり、違和感を覚えるかもしれませんが…。
誠愛の家に囚われた住人達の未来のため、竹本は丑嶋の隠し金を奪います。
いくら親友とはいえ、金銭の貸し借りには私情を挟まない丑嶋は竹本を逃しません。
もっとも、竹本も丑嶋から逃げる気など毛頭ありませんでした。
丑嶋から奪った金と同僚達の借金を清算するために、自ら進んで人体に危険を及ぼす労働施設に趣きます。
おそらく、多額の負債を抱えた竹本は生きて帰ることはないでしょう。
それはひとえに、共に苦汁を味わった仲間達を助けるためでした。
私は、丑嶋が最後に竹本に言った言葉が忘れられません。
それは、「竹本、俺はお前を追い込みたくなかったよ」という今生の別れの言葉でした。
丑嶋は、竹本との懐かしい思い出を遠い記憶から呼び起こします。
「竹本…お前一人だけリンチに加わらなかったよな…俺さ、スゲー嬉しかったよ。その上、ウサギまで預かってもらってよ…スゲー感謝してるぜ」
そして、丑嶋は自らに言い聞かせます。
「お前は極端過ぎる。俺も極端だ。お互い生き方は変えられねぇんだ。お前を地獄に送ったことを後悔してねえ…」
しかし、丑嶋は独り車中で慟哭するのでした。
このシーンは、食われる側ではなく食う側として生きる決意をした丑嶋馨が、債務者に対して見せた唯一といってもいい人間らしさでした。
それだけに、丑嶋の竹本への深い親愛の情を感じずにはいられません。
丑嶋ならずとも、生き馬の目を抜く弱肉強食の世界に降臨した“聖人”竹本優希の最後に、何とも言えぬ寂寥の思いを抱くに違いありません。
“優”しいという字に希望の“希”と書いて優希。
まさしく彼は、その名前に恥じぬ生を全うします。
竹本優希こそ、パンドラの箱の最後に存在した暗闇を照らす一筋の光明でした。
「闇金ウシジマくん」を読んで
最初に読んだときに、なんと絵柄の汚い作品なんだろうと思ってしまいました・・・
しかしこの絵柄がストーリーや世界観にピッタリ嵌っています。
10日5割(トゴ)でお金を貸す金貸し、と一言で済ましていますが、計算するととんでもない額になるんですよ。
人は簡単に堕ちていきます。
絶対にこの漫画は「お金の教科書」として小学校などで取り入れた方がいいです。
トラウマになってお金を借りようとは思わなくなると思います。

ラスト近くになると「金貸し」としての物語よりも「丑嶋がどうしてできたか」という物語になってきます。
衝撃の丑嶋の正座シーン。このシーンは見たくなかった。
何が衝撃かというと丑嶋は絶対に人に頭は下げないからです。
「食われるより食う」を信条にしている丑嶋が正座をして滑川に無理を言われるシーン、滑川に食われてますよね。
それも丑嶋のある決意から行動させた事です。

普通に生きていくこともできたはずなのにできなかった丑嶋や登場人物たちはこの社会に存在しています。
漫画だけの物語と思わず、誰にでも起こり得る話と思わなければいけません。
弱者と強者の違いも思い知らされる!
ストーリー
画力
魅力
笑い
シリアス
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「闇金ウシジマくん」を読んだ人におススメです
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